映画徒然日記Vol.38「正月スペシャルNo.1」
あけましておめでとうございます!
2020年の幕開けでございます!
今年も、さまざまな映画について語って参りますので、よろしくお願いします!
今回は、正月スペシャルと題しまして
この長期休日に鑑賞した映画をご紹介していきます!
まずは、こちら!
「インスタント沼」(2009/日本)
監督/脚本 三木聡
キャスト 麻生久美子、風間杜夫、加瀬亮、ふせえり、白石美帆、岩松了、笹野高史、松坂慶子
いやぁー家でゴロゴロな〜んも考えずに見るにはぴったしのくだらなさ。
中盤までのゆるーいギャグの嵐はたまらないバカらしさ。
後半は、スピードダウンしてしまったのは残念打が、嫌な事があった時にはこういうバカらしい映画でも見て全部忘れましょう!
時効警察ファンとしては、お馴染みのメンバーが揃っているのが嬉しい!
「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」
監督 ヨルゴス・ランティモス
脚本 ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリップ
キャスト コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、バリー・コーガン、ラフィー・キャシディ
タイトルも謎だし、ストーリーも難解な本作。
最初のカットから、鼓動を打つ心臓のアップからスタート。
ニコール・キッドマンもインタビューで応えているが、スタンリー・キューブリックに影響を受けているであろう滑らかに人物を追うトラッキングショットやズームイン・アウトのカメラワークと作品の静かな空気。
キューブリックだけでなく、ミヒャエル・ハネケにも相当影響を受けているであろう、不条理な物語。
結末に近づくにつれて息苦しくなっていく展開に正月に見る映画じゃねぇ〜笑
1人の有能な外科医の自信が崩壊していく様を、家族たちの命を秤にかけられながら、試されていく。
今まで、自分が信じていた物が目の前で呆気なく崩れていくことがどれだけ怖いことか・・・
その心理的な恐怖を、映像を通して描けている事に感嘆。
ギリシア神話にヒントを得たストーリーは、日本人にはピンと来ない部分も多いが、それでも十分この作品には観客に嫌悪を与えつつも、惹きつける魔力の様なものが息づいている映画だ。
そして、この作品で特筆すべきはバリー・コーガンだ!
バリー・コーガンの不気味な雰囲気はたまらなく嫌な気持ちにさせられる。
絶対知り合いになりたくない人種だ。
まだ、あまり出演作は多くないがこれから注目すべき若手俳優の1人だ。
「歌行燈」(1943/日本)
監督 成瀬巳喜男
原作 泉鏡花
脚本 久保田万太郎
実質、私にとってこの作品が2019年最後の作品。
戦時中の映画で、タイトル前に「一億で背負へ、誉の家と人」なんて、文字が出てくる。
これ、映画の内容と全く関係なくない?と思うが、当時はこういう映画の中にも戦意高揚の為のものが散りばめられているのかと驚かされた。
能楽師が主人公の芸能に生きていく事の厳しさをかんじさせる映画。
芸に生きていく事は、自信を持って観客の前に立たねばならないが、自信が傲慢に変わるとそれは芸の路から踏み外してしまう事となる。
かなり行き当たりばったりのストーリーで見ていて、当時誰も文句をつけなかった事が不思議なくらいなのだが、こういうお話はいまじゃ逆に新鮮なぐらいだ。
女性の権利なんて、当時はないようなもんだったと言うことも思い知らされた。
「ボヘミアン・ラプソディ」(2018/アメリカ)
監督 ブライアン・シンガー
脚本 アンソニー・マクカーテン
キャスト ラミ・マレック、ジョセフ・マッゼロ、ベン・ハーティ、グウィリム・リー、ルーシー・ボイントン、マイク・マイヤーズ
2018年最大のヒット作で、社会現象にもなった本作を2020年一発目の作品にするという時代に遅れまくってる筆者なのだが、この作品が何故社会現象になったのかイマイチぴんと来なかった。これも、時代にのれてない感じなのだが・・・笑
作品自体は、かれこれ公開される8年前から企画が立案されていたとのことだが、なかなか完成までにはシナリオやキャスティングに関して、時間がかかってやっとのことで完成の日の目を見たとのこと。
「Queen」に関して詳しくない自分でも、楽しめる音楽ドラマとしても完成度が高く、最後のLIVEシーンは映画館で見てたら迫力に圧倒されたであろう。
だとしても、ここまで世界中で絶賛されている理由がやはり分からなかった・・・。
No.2に続く!
映画徒然日記Vol.37「2019年ベスト5!!」
2019年最後の投稿でございます。
今年は、自分で想像していた以上に投稿し
これも、読んでくださる方がいらっしゃった事がとても励みになりました!
ありがとうございました!
来年も、よろしくお願い致します。
という事で、今年最後の投稿は
私個人が選びました2019年に公開された映画のベスト5を紹介します。
2019年は、近年稀に見る「映画豊作年」でした。
来年も、この勢いのまま豊作である事を願いつつ・・・
まずは、5位から!!
第5位
・「ジョーカー」
「バットマン」シリーズの中でも、人気の高い悪役「ジョーカー」の誕生譚。前評判から高評価で、その評判に違わぬ見る側の内面を抉ってくるような作品でありながら、見る側に心地の良い気分にさせると言う手を出してはいけない劇薬のような作品だった。
今までジョーカーを何人もの俳優が演じてきたが、その強烈なキャラクターをまた新たな一面として誕生させた監督のトッド・フィリップとジョーカーを演じた、ハリウッドの問題児ホアキン・フェニックスの強烈なパンチを世界中が喰らわされた。
この作品は、去年までだったら1位だったかもしれないが、5位に、この話題作が入ってしまうこと自体どれだけ豊作だったかと言う嬉しい年だ!
では、続いて4位!
4位
・「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
映画をこよなく愛し、映画からこよなく愛されている男ことクエンティン・タランティーノの世界待望の新作。
そんな無限大の映画ラブを大放出した作品が、この作品だ。
時は、1969年のハリウッドの黄金期が終わる頃が舞台。
ピークを過ぎた俳優リックとその運転手けんボディダブルを担当しているスタントマンのクリフ。2人の目を通して、当時のハリウッドをブラックなユーモアたっぷりに描いた。
これは、タランティーノの最高傑作として名前の上がる「パルプ・フィクション」の様な群像劇であり、クライマックスでは「イングロリアス・バスターズ」、「ジャンゴ 繋がれる者」にも通じる爆笑必至の歴史をもタランティーノマジックで覆してしまう新作にしてベストタランティーノなのだ!
トッド・フィリップス、タランティーノ・・・と来て、次の監督は誰だ!?
第3位
「パラサイト 半地下の家族」
今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した事で既に話題になっていた今作が第3位!
観賞後に全く中身は違うが、インド映画「きっと、うまくいく」を見た時と同じ感覚に陥った。
それは、まさに多ジャンルが豊富に一本に盛り込まれている「おもちゃ箱」をひっくり返したような映画だと言う事だ。
最初はコメディだと思っていたら、サイコスリラーに早変わりし、最後はこの作品について考えさせられ、呆然とさせられる。
パク・クネ政権当時に政権に不都合な文化人として「ブラックリスト」に載せられた事件から堂々と復活をしたポン・ジュノ監督の力技を体感するべし!
・・・と、ここで番外編!
ベスト5には、入らなかったものの
やはり無視が出来ない作品がありました!
番外編!
「運び屋」
クリント・イーストウッドが、10年ぶりに監督と俳優として復活!
これは、2019年の映画ニュースでは無視の出来ない事件の一つ。
作品としては、主人公が90歳のおじいちゃんなので地味ではあったがイーストウッドが演じていると言うだけで映画として、エンターテインメントとして、成立してしまっている。
まだまだ枯れない男・イーストウッド。
2020年1月には、イーストウッドがまたしても新作「リチャード・ジュエル」が公開される。
予告編を見ましたが、こちらも期待度MAXでございます。
イーストウッド、本当バケモンです・・・笑
こうやって、紹介をしているとなかなか一つのジャンルでは括れない個性的な作品が、よくもまぁ集まったものですね・・・笑。
そして、第2位は?
第2位
「存在のない子供たち」
自分にとって、人生観を変えさせられたと言っても過言ではないレバノン映画。
12歳のゼインは、中東の貧民窟で暮らしている。
そんなゼインは、両親を裁判で訴える。
「何の罪で?」と裁判長に聞かれると、ゼインは静かに答えた。
「僕を産んだ罪」
世の中には見なくていい映画は沢山ある。
しかし、この作品は誰もが見なければならない映画だ。
この作品で描かれていることは、世界のどこかの話ではなく、日本でも同じことが起こっている。
それを知らずに子どもを産み育てる親と呼ばれるにこそ見てほしい。
この映画の監督・ナディーン・ラバキーは、最初は中東の難民を取り上げたドキュメンタリー映画を撮ろうと取材を進めていく中で、12歳の主人公を演じた難民として貧民窟に暮らすゼイン・アル・ハッジくんと出会う。
そして、彼を使って映画を撮ることを決めた。
他の役者も、舞台となる場所に実際に生活をしている人たちを使って撮影を行った。
なので、描かれているものはウソではなく「リアル」なのだ。
そんな「リアル」に生きているゼインの姿は、記憶に深く深く刻まれた。
どうか、この作品が世界中の多くの人たちに見られる事を願って・・・。
人生観を変えられた作品を上回る作品とは・・・?
第1位!
「アイリッシュマン」
3位の「パラサイト 半地下の家族」、2位の「存在のない子供たち」とこの「アイリッシュマン」は同率でもいいぐらいの気持ちなのだが、マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、そしてアル・パチーノというもう二度とこのチームでの新作をお目にかかれないであろう事と、この奇跡のようなゴールデンチームを現実のものとしてくれたNetflixへの勝手に感謝を込めて1位に選ばせてもらった。
Netflixに感謝はしつつも、この作品を見たのはNetflixでではなく、とある映画館で鑑賞。改めて、やはり小さいパソコンの画面ではなく大画面と大音響で見るからこそ映画なのだ。と当たり前のことを再認識。
特にこの作品は、40年間という壮大な男たちの友情の物語であり、アメリカの裏歴史を紐解いた物語である。
カーチェイスや銃撃戦のある作品ではないが、違った意味でのスケールの大きさということに関してはパソコンの画面では収まりきらない作品であり、3時間半近くある映画なので家でのんびり見たい気持ちも分からなくはないが、姿勢と気持ちを調えて極力集中できる環境で見た方が得な作品だ。
各賞レースでも、既に話題をかっさらっている本作。
2019年の映画豊作年で、話題作の多かった一年の中でこの作品が最も熱を帯びていた気がする。
と言う結果でございました!
個人的には、今年は総合計106本の映画を見てきましたが、栄えある1位は「アイリッシュマン」でした。
来年も、期待大の作品が揃っております。
2020年のラインナップを楽しみに年を越していきたいと思っております。
それでは、皆さんよいお年を!
映画徒然日記Vol.36「誘拐報道」
・「誘拐報道」(1982年・日本)
監督 伊藤俊也
脚本 松田寛夫
キャスト 萩原健一、小柳ルミ子、藤谷美和子、宅麻伸、伊藤四郎、三波伸介、平幹二朗、丹波哲郎
1980年に発生した、宝塚市学童誘拐事件を描いていた作品。
原作は、朝日新聞社が書いたものの為
主人公は、誘拐犯の古屋だが
前半は犯人視点ではなく朝日新聞の記者たちの視点で物語が進んでいく。
中盤から、犯人とその家族の視点へと移っていく。
誘拐犯のである古屋にも、妻と娘がおり自分自身も親であり、人の子である苦悩が描かれている。
主人公の古屋を演じるのは今年の3月に亡くなった萩原健一ことショーケン。
この作品でショーケンは、誘拐犯を演じる上で2ヶ月で10キロの減量をし、どこか荒んでいる雰囲気を醸し出しながらもう後戻りができない1人の男を演じている。
今でも、何キロか減量してそのキャラクターに挑んだという話はよくインタビューで聞くが、減量した事がすごいのではなく、この作品のショーケンのように減量し、見た目だけでなくキャラクターの内面への表現に影響をさせながら演技をしてないと意味がないと思う。
今年亡くなってからショーケンと縁のあった人々がテレビや雑誌でさまざま伝説めいた話をインタビューで答えている。
そばに居たら厄介な人だったんだろうなと感じさせられるエピソードが沢山あるようだが、それでもショーケンの魅力は周りの人間、観客を魅了していたのだろう。
監督の伊藤純也としては、後半部分の犯人の視点がこの作品で一番描きたかった部分であったのではと感じるぐらい、前半と後半の熱量が違う。
金の受け渡しについて何度も電話をかける古屋。
しかし、金の受け渡し場所に行くと必ず警察が張っている為金を受け取れない。
そんな中、誘拐した子供が熱が出て苦しみだす。
そこで、これがチャンスだと電話をかけるシーンは力が籠った演出で素晴らしかった。
ショーケン意外の役者たちも、無駄に豪華。
丹波哲郎を中心にした、朝日新聞社の記者たちも昭和の名俳優たちが勢揃いしている。
しかし、最初集合しているシーンでは全員の人相の悪さに記者というよりヤクザにしか見えない。
極め付けは、最後の最後にワンシーンだけ登場する朝日新聞社の空撮ヘリコプターの操縦士の役で「ヤクザと言えばこの人」菅原文太が出演しているので、もう逆に狙ってるのかと思うぐらいだ。
昔の記者なんて、ヤクザのような強引な取材だったとも聞くので、こんな様な人相の人たちも多かったのかも・・・笑
個人的には、今村昌平監督作の「復讐するは我にあり」のように実録物ではあり、日本の鬱々とした雰囲気やドロドロとした人間ドラマなど、似ている気がした。
「復讐するは我にあり」には、及ばないがこちらの作品もなかなかの力作だ。
映画徒然日記Vol.35「サムライ」
「サムライ」(1967年/フランス)
監督/脚本 ジャン・ピエール・メルヴィル
キャスト アラン・ドロン、フランソワ・ペリエ、ナタリー・ウッド、カティ・ロシェ、ミシェル・ボワロン
アラン・ドロンが「太陽がいっぱい」で一躍スターに駆け上り、正にノリにのっている
時に出演したのが、この「サムライ」だ。
やはり、カッチョいいです・・・。
てか、今見てもきれいなお顔をされております。
で、映画ですがこの作品筆者は2度目の鑑賞。
改めて見て感じたのは、とっても変な映画だ。
とにかく、登場人物たちが謎に包まれている人物ばかりでバックボーンなどは
全く描かれることなく、ただひたすら一匹狼の殺し屋の姿を淡々と映し出している。
アラン・ドロン扮する、殺し屋・ジェフの薄暗い殺風景な部屋から始まる。
そして、部屋から出ていき曇り空の街に出ると
人の車に乗り込み、何十束にもなる鍵の束を出して一本ずつ差し込みエンジンをかけ盗
難し、愛人の家、ポーカー仲間の部屋などを訪ね歩きアリバイ作りをし、
バーへ行き、最初の殺しを実行する。
・・・・と、ここまでが約10分ほどなのだが交わされる会話は2,3言。
ほとんど、内容らしい内容があるわけではないが
セリフが極力省かれている演出により、殺し屋・ジェフや他の人物が何を考えているの
かがとても分かり難い。
これが、メルヴィルの手にかかると、とても不思議な空気感の中で物語が進行してい
く。
最後まで見ても、謎に包まれていて
見た人によって印象が違うであろう作品だ。
この作品の不思議な空気感は、登場人物だけでなくどのシーンも薄暗く
色調も灰色で、それがまた独特の空気感を醸し出しているところに
見ている側は溶け込んでいく。
その灰色の世界に身を置く、一匹狼のジェフの男の中の男の姿に思わず惚れ惚れしてし
まう。
この作品は、今私たちが接しているそんな分かりやすい映画などにも多大な影響を与え
ている映画なのだ。
二丁拳銃でやたらめったらぶっ放すことが大好きな香港のジョン・ウーなんかは
この「サムライ」、同じくメルヴィルの監督作「仁義」などにもかなり影響を受けたら
しい。
「サムライ」が好きすぎて、リメイクをしようとしているぐらい好きなようだ。
男を撮らしたら、こんなに男らしくクールに撮れる映画監督はメルヴィル以外いないだ
ろうと改めて感じさせてもらった。
映画徒然日記Vol.35「キツツキと雨」
「キツツキと雨」(2012年/日本)
監督 沖田修一
脚本 沖田修一、守屋文雄
主題歌 星野源「フィルム」
キャスト 役所広司、小栗旬、高良健吾、古館寛治、平田満、伊武雅刀、山崎努
久しぶりに痛快な邦画を見て大満足!!
声を出して笑える映画が少なくなってしまって悲しかったが、何度も声をあげて笑わせ
てもらった。
2年前に奥さんを亡くし息子と二人暮らしの田舎の木こりのおじさんと東京から来た気
弱な25歳の若手映画監督の普通だったらまじりあう事のない二人が、まさに化学反応で
ゾンビ映画を撮影していく様子をユーモアと絶妙なテンポで見せる。
そんな優秀な脚本に、絶妙なキャスティングの妙で文句の付け所がないですわ。
ユーモアの中に、映画の現場の大変さ映し出していて未だに古臭い形で作られているパ
ワハラブラック業界の映画界の黒い部分を、上手くユーモアで和ませつつも小栗旬演じ
る監督がキャストとスタッフの板挟みにあい、まるで刑務所から脱走する囚人の様にあ
る晩旅館を飛び出し逃げ出すシーンは映画監督の孤独を滲ませていた。
それだけでなく、それをまるで囚人を追ってくる刑務官の様にスタッフたちが追っかけ
てくる。
駅で、捕まってしまう監督に向けて古館寛治演じる助監督が
「監督やりたくてもやれねぇヤツもいるんだよ!!!」
と怒りを爆発するシーンはリアルな叫びだ。
40、50代になっても、映画監督を夢見て助監督をしている人は日本にどれだけいる
ことか・・・。
そんな、変なところに感心しながら画面にくぎ付けになってしまった・・・・。
それと、引き換え役所広司演じる木こりのおじさんは最初はロケハンに協力したことか
ら徐々に映画の撮影現場にのめり込んでいく。
挙句の果てに2年前に死んだ奥さんの3回忌を忘れてしまう程に熱中する始末。
現場では、エキストラとして出演する村人たちを統率する助監督の立ち位置で
撮影現場では欠かせないスタッフになる。
隠れ家的な露天風呂で、木こりのおじさんと映画監督が翌日の撮影シーンの演出プラン
を素っ裸で練るシーンは滑稽ながら、これだけ熱中できることがある事はとても幸せな
ことだろうと感じさせられる。
エンドロールに流れる、星野源の「フィルム」。
星野源は、音楽単体で聞いても成立するし映画のエンドロールで流れても成立するよう
な歌詞にして曲作りを進めたらしい。
そのためか、笑えて少し感動もさせてもらって画面が暗くなりエンドロールが流れても
良い余韻を残す優しいメロディで心地が良い。
ぜひ、エンドロールまで余韻に浸って欲しい。
ちなみに、「フィルム」のMVの監督も沖田修一がしている。
こちらのMVにもゾンビが登場する。
こちらもセットで見てみるのも面白いかもしれない。
そして、「キツツキと雨」このタイトルがまた良いよね。
ストレートではないけど、何だか想像させるこのタイトルのセンス。
素晴らしいです。
何で、今まで見てなかったのか後悔しておりますが
出会えてよかった。
てか、褒め過ぎたかな・・・・。
映画徒然日記Vol.34「愛と哀しみのボレロ」
愛と哀しみのボレロ(1981年/フランス)
監督/脚本/製作 クロード・ルルーシュ
音楽 フランシス・レイ、ミシェル・ルグラン
キャスト ロベール・オッセン、ニコール・ガルシア、ジェラルディン・チャップリン、ジョルジュ・ドン、ジェームズ・カーン
「人間の歴史には 2つか3つの物語しかない それらは残酷なほど 何度も繰り返される 毎回 それが初めてであるかのように」ウィラ・ギャザー
この一文から映画は幕を開ける。
1930年代のパリ、モスクワ、ニューヨーク、ベルリンのそれぞれの場所で、それぞれの人々が戦争により引き裂かれ、出会う50年に及ぶ国籍の違う4つの家族の物語。
壮大かつ、豪華絢爛な群像劇だ。
最初の一文の通り、歴史は繰り返される。
その為なのか国境を越え、時代を超えて綴られていく人間模様は親子を同じ俳優が二役で演じていたりするので、時々混乱してしまう。
しかし、そんな混乱の中で人々が国籍、それぞれ抱えた過去を越えて繋がるラストのコンサートのシーンは圧巻。
これこそ、映画だ。
これは、映画館のそれもバカでかいスクリーンで観るための映画だ。
筆者は、小ちゃいテレビで初鑑賞。
これじゃ、良さが半減よね・・・
音楽を担当した、ミシェル・ルグランとフランシス・レイ。
フランシス・レイの代表作といえば、クロード・ルルーシュの「男と女」のテーマ曲は一度は聞いたことがあるはず。
そして、ミシェル・ルグランといえば「シェルブールの雨傘」、「華麗なる賭け」など映画音楽界の大御所だ。
そんな、2人がコンビを組んでのぞんだ事だけでもどんだけ気合いが入った作品かという事がわかる。
この作品は、突如ミュージカル映画の様なシーンが何度かある。
これは、ミュージックビデオの撮影シーンなのだが、これがとってもクール!!
ラストのエッフェル塔でのバレエのシーンがとても有名だが、他のダンスシーンも見どころだ。
この作品には、主人公と言われるキャラクターはいない。
全員が、主人公と言えば主人公だ。
登場人物は、音楽を生業にしている人が大勢出てくる。
戦争により、音楽を生業にしているからこそ十字架を背負って生きなければならない人々がそれぞれの事情を抱える。
それでも、音楽を捨てられず音楽に生きるしか他に彼らには道はない。
そんな、音楽やバレエに人生をかけた彼らが時代に翻弄されながらも
最後は音楽によって救わられる。
名作として名高い作品ではあるが、もっともっと知られるべき映画であり
この作品同様、国籍関係なくいろんな国の人々に見られるべき映画だ。
映画徒然日記Vol.33 「欲望のバージニア」
監督 ジョン・ヒルコート
原作 マット・ボンデュラント
脚本 ニック・ケイヴ
キャスト シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ミア・ワシコウスカ、ガイ・ピアース、ゲイリー・オールドマン
禁酒法時代に密造酒で商売をしていた祖父と大叔父の生涯を執筆したマット・ボンデュラントが書いたものを映画化したものだ。
この作品、7年前の作品。
ストーリーは、兄弟愛とヴァイオレンスをミックスしたとても単純なものだが注目するべきところは、何とも豪華な俳優陣!!
情けない性格なのに、調子に乗って周りに多大な迷惑をかけるウザい役をよく演じる、シャイア・ラブーフに、タフでワイルドな役を演じさせたら右が出るものはいないトム・ハーディ、綺麗な顔立ちなのに笑顔を見せず表情の奥に暗い過去を潜ませる強い女と言えばこの女優ジェシカ・チャステインとこれだけでも十分なのに、まさかまさかの独特な役柄を自分のものにしてしまうガイ・ピアースまで超残忍な特別補佐官を演じている。
その上、元祖怪優と言えばゲイリー・オールドマン!!
序盤で、ゲイリー・オールドマン演じるフロイドがマシンガンをぶっ放すシーンはカッコよすぎる。
しかし、あまり登場シーンが少なくて
メインのストーリーよりも、フロイドのシーンをもっと見たかった!!
勿体なさ過ぎるよー!!
しかし、この三兄弟どこまで事実かわからないが不死身過ぎます・・・。