映画人生記~チャールズ・チャップリン「モダン・タイムス」~
時は、1995年。
この年に日本でヒットや話題になった映画。
2月公開
「マスク」 監督:チャールズ・ラッセル 出演:ジム・キャリー
「フランケンシュタイン」 監督:ケネス・ブラナー 出演:ロバート・デ・ニーロ
3月
「フォレスト・ガンプ 一期一会」 監督:ロバート・ゼメキス 出演:トム・ハンクス
6月
「ショーシャンクの空に」 監督:フランク・ダラボン 出演:ティム・ロビンス
7月
「ダイハード3」 監督:ジョン・マクティアナン 出演:ブルース・ウィリス
8月
「ウォーターワールド」 監督:ケヴィン・レイノルズ 出演:ケヴィン・コスナー
9月
「マディソン郡の橋」 監督/出演 クリント・イーストウッド
10月
「ブレイブハート」 監督/出演:メル・ギブソン
12月
「007 ゴールデンアイ」 監督:マーティン・キャンベル 出演:ピアース・ブロスナン
「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 監督:山田洋次 出演:渥美清
この年は、アクション映画も入っているが人間ドラマを描いた話題作が多い印象の年。
そんな年に、自分がハマっていたのはこれまではアクション映画で派手なものが
大好きで映画館にも年に何度も足を運んでいた。
しかし、この年私は小学校に入学と同じぐらいの時期にハマったのが
完璧、時代を逆行している少年はチャップリンをマネて段ボールとガムテープで
歪なステッキを作り、セロテープを鼻の下に貼り付けて黒ペンで塗ってヒゲを作って
ガニ股で家中を歩き回っていた。
チャップリンにハマることになった作品は、
「モダン・タイムス」1936年/アメリカ
監督・製作・脚本・作曲 チャールズ・チャップリン
キャスト チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード
資本主義社会や機械文明が、人間を飲み込むように発展を遂げた社会への
アンチテーゼを社会派コメディとして描いたチャップリンの傑作の1つ。
チャップリンの長編中編作品は、どれも傑作なのだが
私が、個人的に思い入れが強い作品がこの「モダン・タイムス」。
機械文明を痛烈に風刺して笑い飛ばす作品が、最も象徴的に描かれているのが
有名なチャップリンが工場の歯車に飲み込まれてしまうシーン。
セリフや説明的な描写ではなく、この1カットだけで風刺と笑いを共存させて
描いてしまうセンス!
社会的なメッセージが注目されてしまいがちな作品ではあるけど、
コメディエンターテイメントとしても、感動的なドラマとしても
観客を楽しませてしまう、チャップリンはやはり凄すぎる・・・。
「モダン・タイムス」は、チャップリンが一部分だけだが初めてスクリーンで声を出し
た作品でもある。
日本でも、某車の会社のCMでも使われた「ティティナ」をチャップリンが
終盤で歌声を披露しているのが、初のスクリーンで声を発した記念すべきシーン。
歌詞を覚えきれず、適当な歌詞で歌いきり観客から喝采を浴びる。
文明が人間を超え、人間たちがロボットのごとく働かされる社会の中で
ボロボロになった人間は、ちっぽけで、惨めかもしれないけど、どんだけ踏みつぶされ
ても、再び立ち上がり歩き出していこうというチャップリンの希望をラストシーンに
私は感じてしまう。
あんなにも美しいラストカットを超える映画は、この先にも出会うことはないだろう。
私に、どんな時も希望を胸に生きていくことを笑わせながら教えてくれたのは
学校や塾などではなく、チャップリンの映画が教えてくれたような気がする。
つづく。