映画徒然日記Vol.35「キツツキと雨」
「キツツキと雨」(2012年/日本)
監督 沖田修一
脚本 沖田修一、守屋文雄
主題歌 星野源「フィルム」
キャスト 役所広司、小栗旬、高良健吾、古館寛治、平田満、伊武雅刀、山崎努
久しぶりに痛快な邦画を見て大満足!!
声を出して笑える映画が少なくなってしまって悲しかったが、何度も声をあげて笑わせ
てもらった。
2年前に奥さんを亡くし息子と二人暮らしの田舎の木こりのおじさんと東京から来た気
弱な25歳の若手映画監督の普通だったらまじりあう事のない二人が、まさに化学反応で
ゾンビ映画を撮影していく様子をユーモアと絶妙なテンポで見せる。
そんな優秀な脚本に、絶妙なキャスティングの妙で文句の付け所がないですわ。
ユーモアの中に、映画の現場の大変さ映し出していて未だに古臭い形で作られているパ
ワハラブラック業界の映画界の黒い部分を、上手くユーモアで和ませつつも小栗旬演じ
る監督がキャストとスタッフの板挟みにあい、まるで刑務所から脱走する囚人の様にあ
る晩旅館を飛び出し逃げ出すシーンは映画監督の孤独を滲ませていた。
それだけでなく、それをまるで囚人を追ってくる刑務官の様にスタッフたちが追っかけ
てくる。
駅で、捕まってしまう監督に向けて古館寛治演じる助監督が
「監督やりたくてもやれねぇヤツもいるんだよ!!!」
と怒りを爆発するシーンはリアルな叫びだ。
40、50代になっても、映画監督を夢見て助監督をしている人は日本にどれだけいる
ことか・・・。
そんな、変なところに感心しながら画面にくぎ付けになってしまった・・・・。
それと、引き換え役所広司演じる木こりのおじさんは最初はロケハンに協力したことか
ら徐々に映画の撮影現場にのめり込んでいく。
挙句の果てに2年前に死んだ奥さんの3回忌を忘れてしまう程に熱中する始末。
現場では、エキストラとして出演する村人たちを統率する助監督の立ち位置で
撮影現場では欠かせないスタッフになる。
隠れ家的な露天風呂で、木こりのおじさんと映画監督が翌日の撮影シーンの演出プラン
を素っ裸で練るシーンは滑稽ながら、これだけ熱中できることがある事はとても幸せな
ことだろうと感じさせられる。
エンドロールに流れる、星野源の「フィルム」。
星野源は、音楽単体で聞いても成立するし映画のエンドロールで流れても成立するよう
な歌詞にして曲作りを進めたらしい。
そのためか、笑えて少し感動もさせてもらって画面が暗くなりエンドロールが流れても
良い余韻を残す優しいメロディで心地が良い。
ぜひ、エンドロールまで余韻に浸って欲しい。
ちなみに、「フィルム」のMVの監督も沖田修一がしている。
こちらのMVにもゾンビが登場する。
こちらもセットで見てみるのも面白いかもしれない。
そして、「キツツキと雨」このタイトルがまた良いよね。
ストレートではないけど、何だか想像させるこのタイトルのセンス。
素晴らしいです。
何で、今まで見てなかったのか後悔しておりますが
出会えてよかった。
てか、褒め過ぎたかな・・・・。