映画徒然日記Vol.30「子連れ狼 三途の川の乳母車」
「子連れ狼 三途の川の乳母車」
監督 三隅研次
原作 小池一雄
製作 勝新太郎、松原久晴
キャスト 若山富三郎、松尾嘉代、大木実、小林昭二、岸田森、新田昌玄
冥府魔道に堕ち乳母車に息子を乗せて、一殺五百両で刺客として旅をする「子連れ狼」
シリーズの2作目。
ストーリーが続いているとは知らず、1作目を飛ばして「子連れ狼」シリーズの中でも
人気の高いらしい、今作から見てしまった。
なので、今からこのシリーズを見始める人は是非とも1作目「子連れ狼 子を貸し腕貸
しつかまつる」から見て頂きたい。
このシリーズの原作は、小池一雄原作・小島剛夕画の漫画(劇画)が原作で
すでに、漫画としても人気を集めていた。
劇画漫画という事もあり、映画にぴったりの題材だったということもあって最初は
テレビドラマとして勝プロダクションの代表だった、勝新太郎に話が持ち込まれたが
勝新太郎の兄の若山富三郎が「あれは、自分がやりたい」ということで
「じゃあ、俺がプロデューサーで兄ちゃんが出ればいい」と映画化する事になった。
そして、見事に一作目が大ヒットし六作目までシリーズは続いた。
映画一作目の後に、萬屋錦之介が拝一刀を演じてドラマ化されている。
海外でも、配給されて大ヒットを記録している。
想像以上に、血は噴き出す、腕は吹き飛ぶ、鼻は取れる、顔はグチャグチャにされる
と、なかなかのスプラッターぶりに驚いた。
今だったら、R指定になっているだろうな・・・。
漫画原作と言うこと手伝って、かなり荒唐無稽な決闘シーンが多い。
映画もドラマも見たことが無かった筆者が、一番驚いたのは拝一刀の息子・大五郎まで
があんな可愛い顔をして、父親の殺しの手伝いをしているのにはうけた。
大五郎が、乗っている乳母車に「007」シリーズのボンドカーばりの
仕掛けが施されていて、ボタンをポンと押すと乳母車のタイヤの横から鋭い刃が飛び出
し、それで敵の足首を切り捨てたりと、もうやりたい放題。
敵たちのキャラクターもかなり強烈。
今作で登場する、「弁天来」と言う三兄弟の殺し屋や
明石柳生一族の女当主・柳生鞘香もなかなか強烈だが、
鞘香が率いる、「別式女」と言う女の殺し屋集団などなどが登場し
拝一刀と大五郎に襲い掛かる。
そして、血みどろにされて返り討ちを喰らう。
特に「別式女」との対決シーンは、爆笑必至。
別式女たちは、小川で大根を洗い農家の娘に扮しているが実は洗っている大根の中に
小刀が隠されていて、拝一刀と大五郎が現れるとそれを大根を投げ飛ばす。
「どんだけ、頑丈な大根やねん!!てか、どうやって大根に小刀隠したんだよ!!」と
突っ込みたくなる。
そんな、ツッコミを入れながら見て頂くととても楽しめる映画のような気がする。
最後の「弁天来」との砂丘での対決シーンはとてもカッコいい。
砂埃が風で巻き上げられる中、走り回る男たちはマカロニウエスタンさながらの迫力。
若山富三郎の大柄な体型からは、あまり想像の出来ない身のこなしにも驚かされた。
とにかく、見どころ満載、満腹感十分の作品だった。