今日の監督さんVol.1「市川崑」
ブログを始めて、約1週間。
見た映画について語ってきたが、先日の「パルプ・フィクション」についての記事を書いていて、自分が書きたいものが何だったかを思い出した。
そう、それは「好きな映画監督」についてだった!!
もちろん、今後も観た映画について語りたいとは思っているが、今日は作品ではなく監督について語ってみたいと思います。
記念すべき第一回目は
市川崑
私が、30年間生きてきて一番と言っていいほど衝撃を受けた監督だ。
上記にも、書いたが「好きな映画監督」について書きたいと思ったのは他でもない「市川崑」について書いているブログをあまり見かけない。
市川崑の魅力を書いているブロガーさんに出会いたい!
でも、いない!
なら、自分で書いてしまえ!!
という事で、今日は「市川崑」について書いてみたいと思う。
そもそも、なぜ「市川崑」をブログに書くほど好きかと言うと・・・。
とにかく、「カッコいい」のだ!!!!!
「なんじゃ、その理由は!?」
と思う人もいると思う・・・。
でも、その言葉しか思いつかないのだ。
とにかく、全てが斬新で私が初めて見た「犬神家の一族」には度肝を抜いた。
角川映画の一本目として、制作された「犬神家の一族」は公開当時から大ヒットとなり、それ以降も「金田一シリーズ」として4本が続けて制作された。
何に、度肝を抜いたかと言うとこの市川崑という監督の「実験精神」と「遊び心」。
市川崑は、元々アニメーターになりたくて映画の世界に入った。
若い頃に見た、「ミッキーマウス」、「シリ―シンフォニー」などを徹底して分析するほどアニメに夢中になっていた青春時代があった。
市川青年は、夢を抱えて京都のJ.O.スタジオ・トーキー漫画部に入社。
そこで、「新説カチカチ山」という6分のアニメを脚本・作画・撮影・編集を一人で担い完成させる。
が、漫画部は閉鎖になってしまい、実写映画の助監督に転身する。
という様な、前歴があるため実写映画にも他の監督と違った「発想」で映画を撮っていたのだろう。
「金田一シリーズ」は、ジャンルで言えば「ミステリー」だがとても「ポップ」。
原作者である、横溝正史のおどろおどろしい世界観を残しつつ自分の”タッチ”で描いている。
”タッチ”という単語が出てきたが、まさしく市川崑の”タッチ”がどの作品にも流れているのだ。
とても、短いカットを数秒に間にいくつも繋ぐのを「コンタッチ」と呼ばれるほどだ。
「今度の作品では、こんなことをしてやろうかな?」
「ここは、こんな構図で撮ろう」
など言いながら、
見てる側が、ワクワクしてしまう程、楽しんで作品を作っているのが伝わってくる。
市川崑が撮った映画作品は、76本の映画を撮った。
「ミステリー」、「文芸作品」、「時代劇」、「メロドラマ」、「コメディ」、「アクション」、「SF」、「アニメ」、「ドキュメンタリー」とジャンルを問わない。
なので、代表作という物があるっちゃあるが、ないっちゃないのかもしれない。
勿論、上記で紹介した「犬神家の一族」もそうだし
日本映画のリズムを変えたいと役者に早口台詞で演じさせた「結婚行進曲」も
横山泰三の4コマ風刺漫画を原作にした「プーサン」も
時代設定を完全に無視した「天晴れ一番手柄 青春銭形平次」も
エロスな内容に国会で物議をかもした、谷崎潤一郎原作の「鍵」も
デヴィッド・フィンチャーよりも、数十年前に「銀残し」を映画初行った「おとうと」も
最近、お笑い芸人・バカリズムが脚本でドラマになり話題になった「黒い十人の女」も
この世に映画にならない素材はないとばかりに、育児書を脚色した「私は二歳」も
「芸術か記録か」の大論争を巻き起こした「東京オリンピック」も
ラッシュで「こんな映画を撮ったのは誰だ!」市川崑自身が激怒したという、手塚治虫の「火の鳥」も
自身が長年映画化を夢見て、妻である和田夏十の脚本遺作「細雪」も
高倉健を主演に迎えて「忠臣蔵」を新たな解釈で撮った「四十七人の刺客」も
好き嫌いは、あれどどれも代表作なのかもしれない。
これほど、ジャンルに縛られることなく様々な作品を撮りながらも自分の世界観を晩年まで作品に投影し続けた監督は少ないだろう。
どうしても、歳と共に映画も年相応の作品が増えていく。
でも、市川崑は違う。
この作品の登場人物は、なんと「紙人形」なのだ!!
84歳のおじいちゃんがこんなの撮っちゃうの!?
そして、遺作では再び、「犬神家の一族」をセルフリメイクする。
それも、同じセリフ、カメラワークもほとんど同じ構図、主演の金田一は勿論石坂浩二。
「なんで、そんなこと・・・」
「リメイク版は、あまりよくなかった」
という声もチラホラ聞くが、何よりもこの「実験精神」を評価してほしい。
最後の最後まで、「実験精神」、「遊び心」を忘れず映画を撮り続けた市川崑。
まだまだ、語りたいことは山ほどあるが今日はこのへんで。
とにかく、市川崑監督を
もっともっと、日本でも海外でも評価をされてほしい。