映画徒然日記Vol.31 「ラスト・エンペラー」
「ラスト・エンペラー」(1978年・イタリア/中国/イギリス)
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
脚本 ベルナルド・ベルトルッチ、マーク・ペプロー
製作 ジェレミー・トーマス
音楽 坂本龍一、デイヴィッド・バーン、スー・ツォン
キャスト ジョン・ローン、ピーター・オトゥール、ジョアン・チェン、坂本龍一
2歳で皇帝に即位し、そこから時代に翻弄される愛新覚羅溥儀の半生を描いたものだ
が、正に日本も平成から令和へと時代が移り変わり、5月から令和へ新元号に変わり、
10月に即位礼正伝の儀、11月に大嘗祭が行われた。
そんな、今だからこそ鑑賞する意味はあるのではないかと思い、数十年ぶりに再鑑賞。
再鑑賞たが、ほとんど覚えていなかったが、やはり序盤の紫禁城での即位のシーンは鮮
明に記憶に残っていた。
改めて見ても、この作品のスケールの大きさとエキストラの多さには、圧倒される。
故宮博物院での数週間のロケを敢行。
中国政府の許可がおりて世界初で行われたという事も公開当時話題を呼んだ。
今見ても、どのシーンもよく許可が下りたなと思う撮影が行われていて驚かされる。
これは、プロデューサーのジェレミー・トーマスの力の大きさを感じずにはいられな
い。
ベルトルッチの独特の赤・黄などの色彩の美しさを感じつつも
作品の雰囲気は、ジェレミー・トーマスが製作で関わった
大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」とも似ている。
坂本龍一は、両方の作品に出演し音楽を担当している。
とにかく、壮大なスケールでどのシーンも華麗だ。
以前、見たときは長い作品だったイメージがあったが今回鑑賞し直してみて
溥儀の2歳から50代までを描いているが、とてもテンポが速く
少し置いてきぼりになってしまった。
当時の中国、日本、満州などの情勢などはある程度頭に入れておかないと
何が起こっているのか分からないまま進んでしまう。
ベルトルッチのめくるめく中国の壮大な歴史の1ページを
現実のものとは少し違う、まるで夢を見ているかのような色彩感覚にはうっとりさせら
れる。
ラストシーンは、不思議な余韻を残してくれる。
皇帝は、国の象徴でありながらも、一人の人間、一人の男性として、大胆に脚色をしな
がらも描いたこの作品は、時代が変わった今だからこそ多くの日本人にあらためて見て
ほしい。