映画徒然日記Vol.29「スパイ・ゲーム」
「スパイ・ゲーム」(2001年/アメリカ)
監督 トニー・スコット
脚本 マイケル・フロスト・ベックナー、デイヴィッド・アラタ
キャスト ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピット、キャサリン・マコーマック
トニー・スコットが、この世を去って7年が経つ。
その日は、真夏のとても暑い日だったのを覚えている。
この「スパイ・ゲーム」と言う作品は公開当時劇場で見たっきりで、ストーリーもあまり覚えていなかった。
しかし、今回再見してみると
「めちゃくちゃおもろしろいですやん!!」.
それと共に、今までトニー・スコットの兄貴であるリドリー・スコット派だった筆者だったが、今回でトニー・スコットを勝手に再評価。
定年を迎えるCIAのネイサン(レッドフォード)の元に自分の直弟子のビショップ(ピット)が中国でスパイ容疑で逮捕されたと聞き、退職の日に直弟子救出作戦に乗り出すと言うようなストーリーなのだが、ほぼ世界を飛び回る2人の回想シーンと現在を行き来する構成になっていて、下手すると観客は混乱しかねないがトニー・スコットは、画面の色味で場所や時代をさりげなく区別したりと工夫を凝らしている。
トニー・スコットの作品の特徴として、とてもテンポが良いと言うのがあるが、この作品もそこまで派手なシーンがあるわけではなく、どちらかと言うとスパイの頭脳戦よりのスパイ映画だが、最初から最後までジェットコースターに乗っているような感覚で目が離せない。
CIAのベテラン工作員を演じる、ロバート・レッドフォードもまた監督をしている俳優の一人だ。
なので、トニー・スコットはかなり最初は緊張したとか・・・。
ドイツでの任務で、ネイサンとビショップがビルの屋上で口論をするシーンの撮影の際に、二人が話すのをいろんな角度からカメラが狙い撮影を行っているが、その中でもレッドフォードを驚かせたのは、ヘリからの空撮だった。
最初は、トニー・スコットに何故空撮をするのか疑問を呈したらしいが
完成品を見て、ビショップの心情をブラッド・ピットの演技だけでなく映像でもより表現する為に用いられた演出だったと知ったなんて話も残っている。
個人的に、ここ5~6年あまり面白いと心の底から感じさせてくれる
アクション、サスペンス映画が減ったなと、げんなりさせられていた。
原因は、「マーベル」などのアメコミ映画が増えたことも一理あるのかもしれない。
マーティン・スコセッシが「マーベル」映画は映画ではないと言う
発言でニュースになっていたが、その意見に一票!と思ったが・・・。
面白いアクション映画が減ったのは、それだけがすべての原因じゃない。
「スパイ・ゲーム」を改めて見て、トニー・スコットの演出力と独特な映像世界を見て
いて存在感の大きさとハリウッドのアクション、サスペンス映画に欠かせない監督の一
人だったっと心底思うと共に、ハリウッドにとって大きな損失となったことを再認識さ
せられた。