映画徒然日記Vol.12 「シング・ストリート 未来へのうた」
いやぁ~ここに来て毎日ブログを更新するようになるとは自分でも驚きである。
・・・と言うのも、このブログ自分にとって良い作品=誰かに教えたくなる映画に出会
えないと、なかなか更新出来ないのだけど、今月は特に良作に出会えているのでブログ
を書く量も増えている。
「シング・ストリート 未来へのうた」(2016年・アイルランド)
監督 ジョン・カーニー
原案 ジョン・カーニー、サイモン・カーモディ
キャスト フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボイントン、ジャック・レイナー、マーク・マッケンナ、エイダン・ギレン、マリア・ドイル・ケネディ
ジョン・カーニーの作品は、「はじまりのうた」をなめてかかって見たら
想像以上に良かったので、そこから注目していた。
「シング・ストリート 未来へのうた」にも公開当時から注目していたが
「はじまりのうた」のあの街角で演奏する高揚感は超えられないだろうと思っていた
が、超えてしまった。
見ている間中、足でリズムを自然と刻んで楽しんで見てしまった(リズム感全くないん
ですけどね・・・)。
この作品は、音楽、友情、恋、そして家族の物語だ。
監督と原案を書いている、ジョン・カーニーは、
「自分自身を反映した作品を作りたかった。ただの音楽の物語にはしたくなかったんだ」
「自分の人生に語る価値のある本物の何かを見つける努力をしたかったんだ。」
とインタビューで答えているが、ジョン・カーニーの半自伝的な作品なのだ。
なので、序盤全く冴えない高校生コナーくんは、監督自身の分身なのだ。
そして、通う高校の前にいつも立っている女の子ラフィーナを口説く為に
バンドをやっていてMVに出てほしいと猛アタック(冴えない癖に!!!)
バンドを組んで、学校での厳しい校則やイジメにも立ち向かっていく。
どこまでが、ジョン・カーニーの体験が元になっているかは分からないが
相当、反映させて原案を書いている。
プロデューサーのアンソニー・ブレグマンがこう語っている。
「物語の舞台は、1980年代のアイルランドのダブリンだ。 この映画の要素の多くが、
ジョンの子供時代の体験から来ている。彼は一流の学校からシング・ストリートの学校
へ転校した。
コナーが、父親が失業して資金繰りが苦しくなったせいで、洗練された教育の場から荒
っぽい世界へ放り込まれたのと同じようにね。
すぐに袋叩きに遭い、弱みを握られ、自分を守るため、そしてかわいい女の子の興味を
引くためにバンドを組んだのもジョンの体験に基づいている。」
こんな、青春過ごしたかったわ~!!
コナーを演じた、フェルディア・ウォルシュ=ピーロは
6か月間にわたる、オーディションで数千人の中から選ばれた逸材だ。
人にもよるだろうけど、筆者から見るとイケメンでも不細工でもないが、冴えない顔を
している彼。
だからこそ、コナーがハマっていた。
他のキャストも、とてもハマっていてどのキャラクター達も物語でしっかりと生きてい
て素晴らしかった。
子供たちへの演出について、ジョン・カーニーは
「子供たちに、セリフを忘れたら、そのまま続けて何か言ってごらんと、けしかけたん
だ。彼らが言うことは、時に私が書いたセリフよりも面白かったよ。」
と語っている。
監督と俳優たちの、セッションがうまくいった結果が作品にしっかりと反映されたのだ
ろう。
日本の青春映画でも、冴えない高校生があることをきっかけにその高校のアイドル的な
可愛い女子生徒と付き合うなんて物語が溢れるほどあるわけだが、冴えないどころかお
前がなんで女子生徒から注目されないんだ!!と言いたくなるようなイケメン俳優が冴
えない主人公を演じている。
邦画も、こういう絶妙な顔の子オーディションで見つけろよ!
物語は、ベタだけどその中に当時のダブリンの社会情勢、音楽業界の事などが分かりや
すくうまく盛り込まれていて、くどくなく、ラストの終わり方も心地の良い余韻を残し
てくれる。
80年代の音楽シーンに詳しい人は、もちろん楽しめるが
音楽に詳しくない人でも、楽しめるであろう作品に仕上がっている。