映画徒然日記Vol.9&10 「その場所に女ありて」、「悪の階段」
久しぶりに池袋の新・文芸坐へ。
只今、開催中の鈴木英夫監督の特集をやっていたので、行ってきました。
今日のラインナップは、
①その場所に女ありて
②悪の階段
の二本!!
鈴木英夫の作品を見るのはこれが初めてだったが、①はタイトル前に映る「東宝シネマスコープ」という輝く画面からは打って変わって当時の東宝作品とは思えないぐらい、冷たい空気感が流れてる作品。
テーマは、当時にしては斬新ではなかったかと思われる「働く女」の物語。
今では、テレビドラマでも描かれるテーマではあるかもしれないが、それを50年以上前にテーマにして撮っている。
仕事に生きる女性を凛々しく描きながら、残酷にも描いているのが今のドラマと当時の描き方の違いかもしれない。
ラストの司葉子と宝田明の電話の大人なやりとりは、まるで歌謡曲を映像化したようで、今のあまちゃん役者にゃこの味は出せねぇだろうな〜なんてなことを思いながら見ていた。
そして、作品のジャンルがガラッと変わって今度は、サスペンスの②。
①と同じ役者(山崎努、西村晃)が出ていて、続けて見ているのであまりの役柄の違いに面食らったが、10分もしないうちに2人ともお得意の悪人ヅラを違和感なく受け入れていた・・・笑
内容は、麻薬組織や企業などから金を奪う金庫破りたちが、きっちり4当分するはずだった強奪した4000万円を奪い合うという犯罪もの。
こちらは、なんと言っても団令子の白い妖艶な美しさがモノクロにクッキリと浮かび上がっていて見ているこちらも生唾もんだった。
あえて、鈴木英夫監督はスタンダードサイズ、モノクロで撮ったと言っていたが、フィルムノワールの雰囲気をビンビンに感じられる作品だけに大正解だったと思う。
カラーだときっと、世界観ぶち壊しだった気がする。
ラストにかけての山崎努vs西村晃の心理戦は、なかなか手に汗握る。
誰が最後に笑うのか?
今見てもなかなか楽しめる秀作を撮っている鈴木英夫監督だが、あんまり今じゃ知ってる人の方が少ないし作品を見られる機会が減ってしまっているようだから、是非この機会に新・文芸坐へ足を伸ばして見てはいかがでしょうか?