映画徒然日記Vol.6 「ハウス・ジャック・ビルト」
激しい雨が降る、6月14日。
久しぶりに、待ち遠しいと感じていた映
画が公開された。
「ハウス・ジャック・ビルト」
監督/脚本 ラース・ファン・トリアー
撮影 マヌエル・アルベルト・クラロ
キャスト マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ライリー・キーオ
あらすじ
建築家を目指すハンサムな独身のジャックは、車の運転中に1人の女性がタイヤのパンクで立ち往生しているのに遭遇する。
彼女を助けるため、近くの修理工場まで同乗させる。
しかし、彼女はデリカシーのない発言を繰り返す。
それに腹を立てた、ジャックは彼女を衝動的に殺害してしまう・・・。
そこから、ジャックの殺人アートの12年間がスタートする。
いやぁー、久しぶりにここまで狂ってる映画を見た。
ジャックの殺人に関する12年間を5つのテーマにまとめた本作。
カンヌ映画祭から追放を受けたラース・ファン・トリアーらしく、独特な不快な雰囲気を最初から最後まで漂わせながらも、不意に強烈な殺人シーンが挟み込まれる。
カンヌ追放から、8年。
久しぶりにラース・ファン・トリアーがカンヌに帰ってきたというニュースをネットで見て、こいつは今年のカンヌは一筋縄じゃイカねぇぞ・・・と思っていた。
そして、案の定上映されると途中退席者が続出した。
しかし最後まで見た人たちからは賞賛のスタンディングオベーションが送られて、まさしく賛否両論。
そのニュースを見てから、楽しみで仕方なかった。
宣伝の仕方だと、まるでサイコスリラーみたいな宣伝の仕方だが、それは全くの間違いだ!!と見終えて思った。
これは、サイココメディだ!!
そんなジャンルってあったけ・・・??笑
最初から最後まで、残酷なシュールなコントを見せられているような気になる。
あまりに残酷だと、人間もう笑うしかないんだろうな・・・笑
とにかく、不謹慎なシーンが続出するこの作品は、決して人に勧めてはいけない。
自分が、不愉快に感じたシーンは2つほどあったが、その1つのシーンに関しては、ジャックを演じたマットディロンも躊躇するほどだ。
監督に相談すると「僕を信じてくれ」と言葉をかけられて、その言葉を信じて撮影に入ったのだそうだ。
例え、演技だ作り物だって言ったって役者は大変だ・・・笑
マット・ディロンの代表作と言うとフランシス・フォード・コッポラ監督の「アウトサイダー」で、一躍アイドル的な存在になったが、その後はあまりパッとしなかったが、今作のジャックを演じた事で顔や立ち姿はスマートなイケメンでありながら、目の奥にある狂気を醸し出せる演技力には脱帽だ。
そして、あまり話題になっていないが2月に亡くなった、ドイツ映画の重鎮・ブルーノ・ガンツも出演している。
彼の役柄は、この作品で一番不思議な役どころで、雰囲気は全く違うがヴィム・ヴェンダースの「ベルリン 天使の詩」を思い出させるが、こっちは天使というか死神といった感じか?
鬱に苦しみ、リハビリの一環として撮った鬱三部作を作った後に、まるで躁状態で大爆発したラース・ファン・トリアーが監督した「ハウス・ジャック・ビルト」。
この作品を見て、あなたは目を背けるか、それとも笑えるか。