映画徒然日記Vol.5 「黒い十人の女」
また、一か月近くの放置してしまいました・・・。
「ゴールデンウィーク編」も途中放棄のままとなってますが、特に気にしている人もいないと思いますので、今日見てきた映画について書きたいと思います。
「黒い十人の女」
1961年
日本
監督 市川崑
脚本 和田夏十
キャスト 山本富士子、船越英二、岸恵子、中村珠緒、宮城まり子、岸田今日子、伊丹
十三
この作品を、35㎜フィルムで映画館で見れる日が来るとは・・・。
何とも感慨深い。
渋谷の「シネマヴェーラ渋谷」にて「大輪の花のように 山本富士子」(5/27~6/7
までシネマヴェーラ渋谷にて開催)という特集にて「黒い十人の女」が上映されてい
る。
客層が、平均60代といったところか・・・。
でも、チラホラと20代など学生さんもいて何となく嬉しい気持ちになった。
さりげなく、舞台化されたり市川崑自身がフジテレビの2時間ドラマとして新たにリメ
イクしたりと忘れられた頃に取り上げられる本作。
3年前には、お笑い芸人・バカリズムが脚本でドラマとしてリメイクして話題になった
元の作品なのだが、残念ながらドラマは見ていないので比べられないが、まず揃ってる
役者からしてやっぱりこちらに軍配が上がりそう・・・。
バカリズム版のドラマ「黒い十人の女」は、船越英一郎が演じた役を父親の船越英二が
演じている。
役名の「風」という名の通り、都会の風にフワリフワリと飛んでいきそうな飄々とした
キャラクターは、船越英二のベストアクトと言ってもいいぐらいマッチしていた。
脚本を担当した、市川崑の奥方でもある和田夏十の独特のセリフ回しが洒落ていて尚且
つ印象的で、それぞれのキャラクターの口から出る度に思わずフフッと笑みがこぼれて
しまう。
「誰にでも優しいってことは、誰にも優しくなってことよ」
こんなセリフ書けるシナリオライターが、今何人いることだろうか・・・・。
もう、崑タッチがこれでもかというぐらい溢れ出している。
もう、市川崑ファンとしては堪らないのだ。
「本妻が、9人の女たちと一緒に夫を殺そうとする話」というのが、
この作品の内容を紹介される際に説明されるが、「サスペンス」、「ミステリー」とし
て、見てしまうと正直不満が残る人もいると思う。
この作品は、「サスペンス」というジャンルを借りた現代の都会に生きる人の生活を
痛烈に風刺していることを、今回改めて再見して気付かされた。
だからといって、説教臭いわけではなくそんなテーマを市川崑のモダンな光と影の映像
マジックによって、クールでポップな作品に仕上がっている。
もう、60年も前の作品だが
今見ると、当時より一層この作品のテーマは現代人に突き刺さるものがあるかもしれな
い。
まさに、時代がこの作品に追いつこうとしているのかもしれない。