映画人生記~チャールズ・チャップリン「モダン・タイムス」~
時は、1995年。
この年に日本でヒットや話題になった映画。
2月公開
「マスク」 監督:チャールズ・ラッセル 出演:ジム・キャリー
「フランケンシュタイン」 監督:ケネス・ブラナー 出演:ロバート・デ・ニーロ
3月
「フォレスト・ガンプ 一期一会」 監督:ロバート・ゼメキス 出演:トム・ハンクス
6月
「ショーシャンクの空に」 監督:フランク・ダラボン 出演:ティム・ロビンス
7月
「ダイハード3」 監督:ジョン・マクティアナン 出演:ブルース・ウィリス
8月
「ウォーターワールド」 監督:ケヴィン・レイノルズ 出演:ケヴィン・コスナー
9月
「マディソン郡の橋」 監督/出演 クリント・イーストウッド
10月
「ブレイブハート」 監督/出演:メル・ギブソン
12月
「007 ゴールデンアイ」 監督:マーティン・キャンベル 出演:ピアース・ブロスナン
「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 監督:山田洋次 出演:渥美清
この年は、アクション映画も入っているが人間ドラマを描いた話題作が多い印象の年。
そんな年に、自分がハマっていたのはこれまではアクション映画で派手なものが
大好きで映画館にも年に何度も足を運んでいた。
しかし、この年私は小学校に入学と同じぐらいの時期にハマったのが
完璧、時代を逆行している少年はチャップリンをマネて段ボールとガムテープで
歪なステッキを作り、セロテープを鼻の下に貼り付けて黒ペンで塗ってヒゲを作って
ガニ股で家中を歩き回っていた。
チャップリンにハマることになった作品は、
「モダン・タイムス」1936年/アメリカ
監督・製作・脚本・作曲 チャールズ・チャップリン
キャスト チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード
資本主義社会や機械文明が、人間を飲み込むように発展を遂げた社会への
アンチテーゼを社会派コメディとして描いたチャップリンの傑作の1つ。
チャップリンの長編中編作品は、どれも傑作なのだが
私が、個人的に思い入れが強い作品がこの「モダン・タイムス」。
機械文明を痛烈に風刺して笑い飛ばす作品が、最も象徴的に描かれているのが
有名なチャップリンが工場の歯車に飲み込まれてしまうシーン。
セリフや説明的な描写ではなく、この1カットだけで風刺と笑いを共存させて
描いてしまうセンス!
社会的なメッセージが注目されてしまいがちな作品ではあるけど、
コメディエンターテイメントとしても、感動的なドラマとしても
観客を楽しませてしまう、チャップリンはやはり凄すぎる・・・。
「モダン・タイムス」は、チャップリンが一部分だけだが初めてスクリーンで声を出し
た作品でもある。
日本でも、某車の会社のCMでも使われた「ティティナ」をチャップリンが
終盤で歌声を披露しているのが、初のスクリーンで声を発した記念すべきシーン。
歌詞を覚えきれず、適当な歌詞で歌いきり観客から喝采を浴びる。
文明が人間を超え、人間たちがロボットのごとく働かされる社会の中で
ボロボロになった人間は、ちっぽけで、惨めかもしれないけど、どんだけ踏みつぶされ
ても、再び立ち上がり歩き出していこうというチャップリンの希望をラストシーンに
私は感じてしまう。
あんなにも美しいラストカットを超える映画は、この先にも出会うことはないだろう。
私に、どんな時も希望を胸に生きていくことを笑わせながら教えてくれたのは
学校や塾などではなく、チャップリンの映画が教えてくれたような気がする。
つづく。
映画人生記~クリント・イーストウッド「ダーティハリー」~
時は、1994年
当時日本でヒットした映画は、
「シンドラーのリスト」、「ミセス・ダウト」、「めぐり逢えたら」、「平成狸合戦ぽんぽこ」
などなど。
その頃の私は植木等、007シリーズと平成生まれの子供らしからぬ物にハマっていた幼少期。
周りがテレビゲームに熱中している中、私は全く見向きもせず、初めて映画館で「トゥルーライズ」を見て益々映画の魅せられていた。
007シリーズにハマり、アクション映画というジャンルに魅了された私は
007シリーズを幼稚園の年長クラスの頃にはほぼ網羅してしまい
次にハマったのが、この男。
監督 ドン・シーゲル
キャスト クリント・イーストウッド、アンディ・ロビンソン、ジョン・ミッチャム
祖父が、VHSに録画をしていた「ダーティハリー」を見てクリント・イーストウッドを
知るきっかけとなった。
犯罪者に対しては、冷酷で容赦のない刑事ハリー・キャラハン。
凶悪犯罪者を執念で追い詰め、最後は相棒のスミス&ウェッソンM29「44マグナム」
をぶっ放す。
007とは、違ったダークな一面を持ち、捜査の為なら手段を選ばず、どんな状
況でも冷静で余裕で皮肉をかまして、不敵な笑みを見せる、主人公のハリー・キャラハ
ン。
映画の内容、イーストウッドの演技も魅力なのは勿論なのだが
当時イーストウッドの吹き替えをしていた、山田康雄の声がとにかくピッタリで
イーストウッドは、山田康雄の声じゃないと違和感があるぐらいで
よりイーストウッドの魅力を引き出していたことは間違いない。
そして、「ダーティハリー」もシリーズを網羅していきながら
「サンダーボルト」や「アイガーサンクション」、「ガントレット」、「ルーキー」な
どのイーストウッドが活躍するアクション映画をレンタルビデオ店で見つけては借りて
きていた。
その中でも、当時の私に衝撃を与えたのが・・・。
セルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」
そして「夕陽のガンマン」
そしてそして「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」
などのマカロニ・ウエスタンにハマっていくことになる。
この三部作のテーマ曲を担当した、エンニオ・モリコーネの曲を何度も聞いて喜んでい
た。
イーストウッドの存在の大きさを知ると共に、「夕陽のガンマン」、「続・夕陽のガン
マン 地獄の決斗」で共演したリー・ヴァン・クリーフにもハマり「怒りの荒野」など
にもハマっていく。
「ダーティハリー」シリーズに始まり、マカロニ・ウエスタンの三部作に始まり
クリント・イーストウッドという俳優の魅力を知る事になっていく。
1992年に「許されざる者」でアカデミー賞作品賞、監督賞を受賞し、95年には「マディソン郡の橋」をヒットさせるイーストウッドだったが、その頃のわたしは、まだ映画監督と言うよりも、アクション俳優としてのイーストウッドにしか興味がなく、偉大な映画監督の一人になっていくなんて知る由もなかった。
つづく。
映画人生記~ショーン・コネリー「007 ロシアより愛をこめて」~
昨日は、長々と私が3歳の頃にハマった植木等について書きましたが、
今日は、植木等狂いの私が「日本一のホラ吹き男」に出会ってから映画というものを知
り、植木等とともにハマった映画について書いてみようと思います。
私の父と祖父も昔から映画好きでその影響は多分にある事は間違いないわけだが、
その父親が、休みの日にVHSで見ていたのが・・・
「007 ロシアより愛をこめて」(1963年・イギリス/アメリカ)
監督 テレンス・ヤング
キャスト ショーン・コネリー、ロバート・ショー、ダニエラ・ビアンキ
007シリーズの第二作目。日本公開時のタイトルは、「007危機一発」。
一作目の「ドクターノオ」が大ヒットして作られた「ロシアより愛をこめて」。
一作目の敵・ドクターノオが秘密情報部(MI6)に所属しているジェームズ・ボンドこ
と007によって倒され、ドクターノオが所属する犯罪組織「スペクター」が復讐する
べく、ソビエトの女スパイと暗号解読機を餌に007の命を狙う。
007を殺すことにより、イギリスとソビエトの外交関係を悪化させることを企てたス
ペクターは、あの手この手で007に危機をもたらす。
現在25作目まで制作されている「007シリーズ」。
ジェームズ・ボンドのスマートさ、次々に展開されるアクションシーン、男の子の心を
くすぐる秘密兵器など、とにかく魅力満載でこの一作で虜になってしまった。
特に、中盤の列車内の決闘シーンに始まり、トラックとヘリコプターのチェイス、ゴー
ルドフィンガーでもオープニングで使われた007とヘリコプターの攻防、そして畳み
かけるようにモーターボートのチェイスと正に陸海空でのアクションシーンに子供なが
らに興奮しっぱなし。
当時、この作品の主題歌マット・モンローが歌う「ロシアより愛をこめて」のレコード
があり、こちらも幼稚園から帰ってくると、針を落として
めちゃくちゃの英語でマット・モンローを真似て、熱唱したものだ。
その後、初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリ―(「ドクターノオ」から「ダイ
ヤモンドは永遠に」)から始まり、ジョージ・レイゼンビー(「女王陛下の00
7」)、ロジャー・ムーア(「死ぬのは奴らだ」から「美しき獲物たち」)、ティモシ
ー・ダルトン(「リビング・デイライツ」、「消されたライセンス」)、もちろんパロ
ディ版「カジノロワイヤル」や「サンダーボール作戦」をリメイクした「ネバーセイ・
ネバーアゲイン」も含め、レンタルビデオ屋などで毎週1本ずつ借りるのが、幼稚園児
の私には楽しみで仕方がありませんでした。
CD屋に行き、「ドクターノオ」から「消されたライセンス」までの主題歌を集めたCD
を買って、カセットテープに録音して、親の車に乗る際はそれを必ずかけていた。
そして、私が小学校1年生のころに6年ぶりに007シリーズ最新作「007 ゴールデン
アイ」が公開された。
親父に連れて行ってもらい映画館のスクリーンで見た、初めての007シリーズとなっ
た。
ジェームズ・ボンドが、4代目のティモシー・ダルトンから5代目のピアース・ブロスナ
ンに変わり、新作が公開される度に欠かさず映画館へと足を運び、レンタルが開始
されると、近所のビデオ屋へと借りに行った。
私にとっては、007シリーズは洋画デビューのきっかけとなり、アクション映画の楽
しさや面白さなどの魅力を発見させてくれた、大事なシリーズなのだ。
つづく。
私の映画人生記〜植木等「日本一のホラ吹き男」〜
1年以上書かずに放っておいたブログですが、自分の人生において映画というものがどれだけ大きな存在かを振り返ってみたいと思います。。。
最近、自分の部屋の掃除をしていて昔のVHSが出てきた。
そのVHSを再生すると、自分と全く同じ顔をした3歳の子供がテレビに映る歌手をマネて、おもちゃのマイクを握りしめて熱唱をしている。
それが、現在(2021年)32歳の私だ。
3歳の私が、何を熱唱しているかと言うと・・・。
「ふざけやがって、ふざけやがって、ふざけやがって、コノヤロー!!
泣けて。。。く〜るぅ〜!!!」
「ハイ、それまでよ」
いや、どんなガキだよ・・・(笑)
当時、私のヒーローは「ジュウレンジャー」や「ドラえもん」などではなく「植木等」。
高度経済成長期のサラリーマンの悲哀を明るくコミカルに笑い飛ばす歌詞の意味なんか
平成元年生まれの当時3歳児に分かるわけがない。
でも、ステージの上を縦横無尽に満面の笑みで歌い踊るおじいさんのパワーに私は魅了された。
1990年に植木等がハナ肇とクレージーキャッツのヒット曲を集めたメドレー「スーダラ伝説」がヒットし、紅白歌合戦にも久しぶりに登場した。
子供にありがちな事だが、一度ハマると何度も見たりするわけだが
当時のことを親が振り返り、「植木等で、お前の人生は狂った」と言われるぐらい
私は、幼稚園に入園しても友達や先生の前で「スーダラ節」や「無責任一代男」などを歌っていた。
周りの友達は、「サッカー選手」や「パイロット」に憧れる中、私は将来「植木等」になると
決めていた。
当時は、今よりもテレビで新作だけでなく古い映画などもよく放映されていた。
夜中には、B級映画や隠れた名作などが流れていた。
ある日、親父がたまたまVHSに録画したものを見ると、そこには若い頃の植木等が
体操着を着てグラウンドを満面の笑みで
「はぁ〜〜〜あ〜〜〜
あの日、ローマでながめ〜た月が〜
今日は、都の空照らす・・・」
歌う姿が映し出されていた。
そう、それは植木等ファンの方にはもうお分かりだろう。
そう!!
だ!!
1964年の映画で、ハナ肇とクレージーキャッツのメンバーだった植木等の全盛期だった頃に作られた「日本一シリーズ」の第2作目。
監督 古澤健吾
脚本 笠原良三
キャッチコピーは「責任を持ってホラを吹き、みんなまとめてメンドウみたよ!!」
1964年と言えば、東京オリンピックが開催された年。
そんな年に制作された映画ということもあり、植木等が演じる初等(はじめ・ひとし)は、
大学陸上の三段跳びの選手で、オリンピックに出場候補になっていたが怪我をして挫折するが
自分の先祖がホラで浪人から大名にまで成り上がった人物だったということを知り、
奮起して就職活動を始め、ホラを武器に出世も結婚も全て手に入れていってしまう。
植木等は、今もこれからも元気付け、勇気をくれる、私にとっては誰よりもかっこ良いヒーローなのだ。
3歳児の私の人生を狂わしてしまった植木等に魅了された私は、「日本一のホラ吹き男」をテープが擦り切れるまで見たことにより、映画というものにも魅了されて行くのだった。
つづく。
映画徒然日記Vol.41「正月スペシャルPART4」
まだまだ、休みだと思っていた正月休みもあっという間。
正月スペシャルと題してやってきましたが、これで最後!
それでは、まずはこちらから!
「華氏119」(2018/アメリカ)
監督/脚本 マイケル・ムーア
2004年に公開した、ジョージ・W・ブッシュ政権を痛烈に批判した「華氏911」の続編?のドキュメンタリー。
今作は、ブッシュに代わりトランプ大統領にターゲットに変更しボロカスに批判。
トランプ大統領を始め、政府に対して激おこプンプン丸のマイケル・ムーアは行動の人だ。
ドキュメンタリーとして面白く分かりやすく作ろうとする気概を忘れずに、国の為に発言をし行動をする。
それは、マイケル・ムーアだけでなく一部の国民が声を上げて立ち上がる。
しかし、その声も届かない。
アメリカという国は自由な国と謳いながらクローズアップして見ると、自由を国から奪われ、想像している住みやすい国とはかけ離れている事を改めて感じさせられた。
オバマ大統領からトランプ大統領に代わり、益々アメリカという国の横暴と暴走は加速を始めている。
日本はアメリカにおんぶに抱っこの関係は今も続いている。
と、なるとこれはアメリカだけのお話ではなく日本にも関係がある。
遠い遠い海の向こうの国のお話ではないのだ。
「青い帰り道」(2018/日本)
監督 藤井道人
脚本 藤井道人、アベラヒデノブ
原案 おかもとまり
キャスト 真野恵里菜、清水くるみ、横浜流星、森永悠希、戸塚純貴、工藤夕貴、平田満
最初は、出ている役者陣の演技があまりに下手すぎて見るのをやめようかと思ったが、中盤からそれが逆に味になっていると言う不思議な映画。
高畑裕太が、強姦致傷容疑で逮捕された事で公開中止になりかけたが、プロデューサーと監督が必ず公開させると、高畑の部分を再撮影することを決断。戸塚純貴を代役に迎え、映画は完成した。
高畑のせいで、その話で映画自体が注目された感はあるが、なかなかの力作。
こちらが想像した通りに、キャラクターが自殺したり、付き合った彼氏がDV野郎だったり・・・とまぁストーリー展開は幼稚な部分はあるが、シンプルだからこそ心に伝わるものがある。
高校の頃に、夢見た大人の世界は理想のものではなかった。
理想と現実に押し潰される若者たちは、無様で見ていて情けない。
でも、無様でも生きていかなきゃいけない。
原案を担当しているのは、元タレントのおかもとまりも主人公たち同様、友人を失いそれがきっかけで原案を執筆した。
そんな経験の持ち主だからこそ、歪だけど真っ直ぐなストーリーを紡ぎ出せたのかもしれない。
「V.I.P. 修羅の獣たち」(2017/韓国)
監督 パク・フンジョン
脚本 パク・フンジョン
キャスト チャン・ドンゴン、キム・ミョンミン、パク・ヒスン、イ・ジョンソク、ピーター・ストーメア
「あなたが、とぅきだから〜」で、日本で一世風靡?したチャン・ドンゴン出演。
監督は、「新しき世界」のパク・フンジョン。
やはり、韓国ノワールはエゲツない。
序盤の女子高生を殺害するシーンでは、陰部でもないのにモザイクかかっちゃうぐらい。(他の作品でも言えることだが、モザイク処理は作品への冒涜だ!)
アクションだけの映画ではなく、国家情報院、警察、容疑者、北朝鮮の工作員のスリル満点の頭脳戦でテンポも良く楽しめた。
イ・ジョンソク演じるグァンイルが、とにかく残忍。
とにかく、腹の立つキャラクターで早く誰か殺しちゃってくれ!と思うが、これがまたしぶとい。
こいつが、ボコボコにされるのが楽しみで最後までノンストップで見てしまう。
先にも言ったが、テンポの良い展開で無駄を無くしたシナリオで最後まで引っ張っていく。
韓国では、あまりヒットはしなかったとのことだったが、なかなか秀作。
でも、血が苦手な人は、絶対見ちゃダメ!
「乱れる」(1964/日本)
監督 成瀬巳喜男
脚本 松山善三
キャスト 高峰秀子、加山雄三、草笛光子、白川由美、三益愛子、浜美枝
今の何でもセリフで説明してしまう邦画からは考えたられないほど、強烈な高峰秀子のアップのラストカット。
あの表情から、さまざまな感情が溢れ出している。
そして、余韻を許さず「終」のクレジット。
ストーリーを語ると、陳腐なものかもしれないがその中で女性映画の代表的な監督・成瀬巳喜男の繊細な女性の心理を随所に入れ込んでいて見るものに緊張感をさえ与える。
監督 サイモン・ウェスト
キャスト ジェイソン・ステイサム、ベン・フォスター、ドナルド・サザーランド
1972年に公開されたチャールズ・ブロンソンの「メカニック」のリメイク。
オリジナルも鑑賞したはずだが正直言ってあまり覚えてない。
ラストが、筆者にとってはショッキングだったのだけは何となく覚えている。
こちらは、半年後には見た記憶すらなくなりそうなぐらい印象の薄い映画だ。
オリジナルに比べてかなりアクション色強め。
まぁ、ステイサム出演していてオリジナル版ばりの地味だったらリメイクする意味はないもんね。
大して語ることのない映画ではないが、見たので一応記す。
今年も、どんな作品に出会えるか楽しみです!
今年も、ご贔屓に!
映画徒然日記Vol.40「正月スペシャルPART3」
あっという間に新年になって、4日が終わろうとしております。
働きたく無い・・・。
そんな、現実逃避をしたくて映画を見ております。
正月スペシャルPART3です。
今日は、この二本!
「戦争のはらわた」(1977/イギリス・西ドイツ)
監督 サム・ペキンパー
脚本 ジュリアス・エプシュタイン、ジェームス・ハミルトン、ウォルター・ケリー
キャスト ジェームズ・コバーン、マクシミリアン・シェル、ジェームズ・メイソン、デビッド・ワーナー
原題の「Cross of Iron」と言うのは、ドイツ軍の鉄十字勲章の意。
勲章や名誉などに振り回されない1人のドイツ兵と鉄十字勲章を何とか手に入れたいと名誉に生きる大尉の物語。
タイトルシークエンスは、真っ赤なヒトラーの映像をバックに童謡の「蝶々」が流れるなかなかのインパクトに釘付けにさせられる。
タイトルシークエンスが終わると、そこからはもう暴力に次ぐ暴力。
サム・ペキンパー後期の作品で、「ワイルドバンチ」からペキンパーの代名詞である、銃撃シーンでのスローモーションや細かいカット割りなどを今度は戦争映画で効果的に使用している。
ペキンパーならではの、強烈なヴァイオレスシーンはとにかく容赦がない。
まさに、戦場は地獄だ。
この地獄の戦場を撮影した現場はもっと地獄だったとのこと。
監督のペキンパーとプロデューサーは、顔を突き合わせれば衝突し、キャストスタッフは支払われないギャラについて問い詰め合い、資金は底をつき、戦車は予定の台数用意されておらず、衣装は最低レベルのものが揃えられ、スタントマンは予定人数を遥かに少ない人数のみ・・・とあげればキリが無い。
こんな、カオスな状態の中だからこそ生まれた作品なのかもしれない。
同じく、70年代に制作され現場は地獄のような状態で有名なコッポラの「地獄の黙示録」にそっくりだ。
どちらも、戦争により狂気の世界へと導かれていく男たちの作品だからこそ、現場も狂気の世界の中で撮られたことで、凄まじいパワーを持っているのかもしれない。
戦場で繰り広げられる強烈な暴力の連続の中で現れるロシアの少年兵がとても印象的に描かれている。
ほとんどセリフはないが、彼の純粋な粒な瞳が何かを訴えている。
その瞳からは、戦争の惨さと恐ろしさを感じさせる。
人を何人も殺し、人を撃ち殺す事に何の躊躇もない野蛮な戦士たちの中で、子供は彼1人なので余計に存在が際立つ。
想像以上に戦闘シーンの連続、終わりに近づくにつれて戦争の狂気が現れていく。
ラストのジェームズ・コバーン演じるシュタイナーの高笑いは戦争の狂気をこれでもかと見せつけられる圧巻のラストカット。
「恋は雨上がりのように」(2018/日本)
監督 永井聡
脚本 坂口理子
原作 眉月じゅん「恋は雨上がりのように」
キャスト 小松菜奈、大泉洋、清野菜名、磯村勇斗、濱田マリ、戸次重幸、吉田羊
中年オヤジの願望を漫画にしたような眉月じゅんの「恋は雨上がりのように」。
「こんな子、いねぇよ!!」
とツッコミを入れながらも、心底羨みながら見ている自分がいる。
そんな、映画です!笑
この作品も、前回紹介した「響-HIBIKI-」も同じく漫画原作だが、筆者にとっては漫画原作をどちらも映画として楽しめた。
こちらも、漫画を読んでいるわけでは無いのでキャラクターとキャストがあっているのか分からないが、個人的に映画としてはキャスティングがベストなキャスティングの様な気がする。
そのキャスティングのおかげもあり、この作品を楽しめたのだろう。
オッサンと女子高生の恋愛物語の決着はどうなるのかな?と気になっていたが、余韻を残す終わり方でタイトル通りの雨上がりの雲間から太陽がのぞく、気持ちの良い気分にさせられた。
原作の漫画は、どうなってるのかな?
読んでみようかな・・・笑
執筆を終えて、
この二本のジャンルの違いの大きさに我ながら驚く・・・笑
映画徒然日記Vol.39 「正月スペシャルNo.2」
正月スペシャルPART2です!
映画漬けの正月を送っている2日も終わろうとしております・・・。
「響-HIBIKI-」(2018/日本)
監督 月川翔
原作 柳本光晴
脚本 西田征史
キャスト 平手友梨奈、アヤカウィルソン、高嶋政伸、柳楽優弥、吉田栄作、小栗旬、北川景子
柳本光晴の漫画「響〜小説家になる方法〜」が原作。
漫画未読なのだが、女子高生版ターミネーターみたいな天才女子高生小説家の物語。
それに引き換え、北川景子のド下手な演技は目も当てられません。
こんなに、演技出来ない人だったのかな?と驚いた。
小栗旬演じる山本の芥川賞を狙い続ける苦悩の小説家の苦しみが滲み出ていて、もっとこのキャラクターを押し出した物語を見たかった。
全体を通して、分かりやすく小説家になる苦悩、才能のある人間とない人間の現実を描いていて楽しめた。
脚本 ジャック・ソーン、スティーヴン・コンラッド、スティーブン・チョボスキー
キャスト ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン、ジェイコブ・トレンブレイ、マンディ・パティンキン、イザベラ・ヴィドヴィッチ
いやぁ〜泣いた〜!!
正月早々泣かされた〜!!
最近、涙脆いのでこういうストーリーのものは弱いんです・・・。
主人公のオギーと同じ、トリーチャー・コリンズ症候群を患っている当事者がこの作品を見て、「感動ポルノ!」だと、現実はもっと過酷なものだと批判したとのこと。
当事者からすると、確かに現実はもっと厳しい物なのかもしれないが、言ってしまえばこれは映画だ。だから、実話を元にしてるわけではないし、作品中にセリフで病名が出てきたりする事はない。これは、一つのおとぎ話なのだ。
映画は、ノンフィクションであろうがフィクションだろうが、俳優が演じてそれをフィルムに映す事自体が嘘なのだ。
だから、現実はもっと過酷だと批判するのはお門違いのような気がする。
この作品を見てオギーと違う病気の子や病気だけでなく、虐めにあっている子供の希望になる映画になれば、それは一つの価値があるのではないだろうか?
オギーに周りが希望を与えるのではなく、オギーが生きている事で希望を与える。
でも、それは顔が変形していようが何だろうが人々に希望は与えられるはずだ。
それは、勇気が出せるかどうかなのだろう。
「男はつらいよ お帰り、寅さん」(2019/日本)
監督 山田洋次
脚本 山田洋次、朝原雄三
キャスト 渥美清、倍賞千恵子、吉岡秀隆、前田吟、後藤久美子、夏木マリ、浅丘ルリ子
まさか、令和になって寅さんにまた逢える日が来るとは思ってもいなかった。
この作品を良かったとか、あそこがどうとか言うのは野暮な気がする。
シリーズ48作目「男はつらいよ 紅の花」を撮影後、渥美清がこの世を去りシリーズは実質幕を閉じ番外編49作目として「男はつらいよ ハイビスカスの花特別編」が制作をされた。
それから、時は過ぎ制作50周年を記念して今作が誕生。
新作であるものの、内容は寅さんの甥っ子の満男を中心にさくらや博などのお馴染みのメンバーが寅さんに想いを馳せながら、日々を送っていく総集編。
渥美清が亡くなってしまっているので、寅さんは昔の映画のシーンから名シーンを切り取っていたり、CG合成で登場する。
48作目を制作後、幻の49作目「男はつらいよ 花へんろ」の制作準備に入っていたが、実現はされなかった。
山田洋次監督は、寅さんを演じる渥美清をそばで見ていてあと何本も新作を撮れるとは思っていなかったであろう。
その時は、急にやってきた。
そして、シリーズは幕を引かざるおえなくなった。
山田洋次監督としては、50作目である今回の作品は「けじめ」のようなものだったのではないだろうか?
監督自身も、90歳を目前にして自分があと何本撮れるかわからない中で、幕を無理矢理閉じなければならなかった事が心残りだったはずだ。
そして、現代の移り変わりの激しい混沌とした世の中だからこそ、寅さんのような人が必要だと感じ、50作目の製作を決断したのではないか。
そんな、監督の思いそして時代がいつまでも寅さんを求めて止まないそんな思いが、この作品を誕生させたのではないだろうか。
正月映画といえば、「男はつらいよ」だったあの頃には戻れないが、令和と言う新しい時代だからこそ見てほしい作品だ。